危険な箇所の大半は、外注する前に自分で見つかる

5つの自己チェックで洗い、残った所だけ第三者に回す

広告の薬機法・景表法チェックは、いきなり外注しなくても、多くを自分で見つけられます。やり方を知らないだけで、手順どおり1文ずつ照らせば、危ない表現の大半は洗い出せます。まず自分でやると、外注に回す量が減り、費用も下がり、社内に判断の軸が残ります。ここでは、外注前にやるべき5つの確認を、手順と具体例で渡します。

📋 目次

  1. 外注前に、この5つは自分でできる
  2. なぜ外注の前に自分でやるのか
  3. 確認1:製品区分とかかる法律を確定する
  4. 確認2:1文ずつ「体の変化・断定・比較」を洗う
  5. 確認3:効果・数値・No.1に根拠があるか
  6. 確認4:価格・限定・条件は実態どおりか
  7. 確認5:体験談・写真・PR表記・注記
  8. 実例:あるLPを5つで通す
  9. 自己チェックでも漏れる理由
  10. 外注すべき場面の判断
  11. よくある質問
  12. まとめ:今日のチェック順番

🎯外注前に、この5つは自分でできる

結論:広告チェックは、外注する前に自分でできることが多いです。次の5つを1文ずつ照らせば、危険な箇所の大半は見つかります。全部やってなお不安な所だけ、第三者に回すのが、いちばん安く確実です。

  • 1区分を確定するその商材が化粧品・サプリ・医療・一般商品のどれで、どの法律がかかるかを決める。
  • 2体の変化・断定・比較を洗う「治る・消える・絶対・No.1」など、薬機法・景表法の核に触れる語を1文ずつ確認。
  • 3根拠を確認する効果・数値・No.1をうたうなら、今すぐ出せる根拠資料があるか。
  • 4価格・限定・条件を確認する二重価格の元値、限定・緊急性、送料の条件が実態と合っているか。
  • 5体験談・写真・表記を確認する効果の体験談、ビフォーアフター、PR表記、打消し注記。見落としが最も多い。

この順番には意味があります。区分(確認1)が決まらないと、どの基準で見るか(確認2以降)が決まりません。前のステップが、後のステップの前提になっています。上から順に進めてください。

目安の時間:1つのLPなら、慣れれば30〜60分で一周できます。まずは1本、手を動かして通してみてください。

🧭なぜ外注の前に自分でやるのか

要点:表示の責任は、最終的に広告主(自社)にあります。制作会社やライターに任せていても、行政の指摘を受けるのは自社です。だから、外注する・しないに関わらず、社内で判断できる状態が要ります。

制作会社任せの盲点

制作会社やライターは、多くの場合「売れる表現」を優先します。法律のチェックは契約範囲外のことも多く、他社の言い回しをそのまま真似ているケースもあります。作った側でなく、出した側(自社)が責任を問われます。

実際に、これまで広告を調べてきた中でも、他社の言い回しをそのまま使い、チェックをほとんど通していないケースが目立ちます。「みんな使っているから大丈夫」という状態が、一番危ない状態です。

まず自分でやる利点

1

外注コストが減る

明らかに危ない箇所を先に落とせば、第三者に見てもらう量が減り、費用も下がる。

2

判断軸が社内に残る

チェックの型を覚えれば、次の広告から自分で防げる。毎回ゼロから頼らずに済む。

3

修正が速い

作る段階で気づけば、公開前に直せる。公開後の差し替えより、はるかに軽い。

前提:「知らなかった」「外注先が書いた」は、行政に対する言い訳になりません。自社が最後の関門だと考えて進めます。

チェックした記録を残す

直した箇所と、なぜ直したか(どの観点に触れたか)を簡単に残します。次回のチェックが速くなり、外注や顧問弁護士に相談するときも経緯を伝えやすくなります。効果をうたう表示は、根拠資料と対応づけて保管しておきます。

🧪確認1:製品区分とかかる法律を確定する

即答:最初にやるのは、「これは何の商材で、どの法律がかかるか」の確定です。区分によって、言える範囲がまったく変わります。ここを間違えると、あとの判断がすべてずれます。

区分かかる主な法律言える範囲の目安
化粧品薬機法・景表法効能56項目の範囲まで
健康食品・サプリ薬機法・景表法・健康増進法原則、効能は不可(制度に乗れば別)
医薬部外品(薬用)薬機法・景表法承認された効能の範囲
医療・美容医療医療広告ガイドライン原則禁止+限定解除の要件
一般の商品・サービス景表法事実・根拠があれば可

やり方:自社の商材を、この表の1行に当てはめます。「サプリだけど”美容にいい”と言いたい」なら、化粧品でなくサプリの行(原則効能不可)で判断します。区分が決まれば、どの基準で見るかが決まります。

区分の取り違えに注意:雑貨・器具でも、体への効果を匂わせると薬機法の対象になります(活水器・磁気グッズ等)。「食品だから何でも言える」「雑貨だから対象外」という思い込みが、最初のミスになりがちです。

🔍確認2:1文ずつ「体の変化・断定・比較」を洗う

即答:広告を1文ずつ読み、「体を変える/断定・保証/最上級・比較」を言っていないかを洗います。これが薬機法・景表法に共通する核です。3つのどれかに触れたら、印をつけます。

  • A体の変化・部位への作用治る・消える・改善・修復・燃焼・排出・血行・代謝・◯◯に効く。体そのものを変える語。
  • B断定・保証絶対・必ず・100%・確実・副作用なし・リスクなし。結果や安全の言い切り。
  • C最上級・比較No.1・日本一・最高・最新・業界初・他社より◯倍。根拠のない優位性。

やり方:キャッチだけでなく、小見出し・本文・成分説明・画像内の文字まで、上のA〜Cに当たる語を蛍光ペンでマークします。マークが多い広告ほど、リスクが高い状態です。区分が化粧品なら56効能の範囲か、サプリなら健康維持・栄養補給に収まっているかで、OK/NGを判断します。

例:「飲むだけで脂肪が燃える(体の変化=A)、業界No.1の吸収率(比較=C)」ならマークが2つ。→「活動的な毎日に(Aを回避)、独自の配合設計(Cを回避)」に直します。芯は残し、触れた語だけ置き換えるのがコツです。

📊確認3:効果・数値・No.1に根拠があるか

即答:効果・数値・順位をうたっているなら、「今すぐ根拠資料を出せるか」を確認します。景表法では、求められたら原則15日以内に合理的根拠を提出しなければなりません。出せなければ、その表示は違反とみなされます。

根拠になるもの・ならないもの

根拠になる:公的機関・第三者機関の試験や調査、統計的に十分なサンプルの臨床・モニター試験、表示内容と一致する学術文献。

根拠にならない:体験談、開発者の自信、動物実験のみ、関係者の感想。「本当に効くから大丈夫」も通りません。

やり方:「◯%が実感」「2週間で変化」「満足度No.1」などを見つけたら、その根拠ファイルが手元にあるかを1つずつ確かめます。無いものは、根拠を用意するか、表現を落とします。No.1は、調査主体・対象・時期・方法を併記できるかで判断します。

例:「利用者の98%が満足」と書くなら、いつ・誰に・何人に・どう聞いた調査かを示せる必要があります。示せないなら、数字を落とすか、調査概要を併記します。「開発者の自信作」「動物実験で確認」は根拠として使えません。

💰確認4:価格・限定・条件は実態どおりか

即答:価格・割引・限定・送料が、実態と一致しているかを確認します。ここは有利誤認の定番で、事実と照合するだけで判断できます。

  • 1二重価格の元値「通常価格」で実際に売っていた実績があるか。架空の元値からの割引になっていないか。
  • 2限定・緊急性「先着◯名」「本日限り」「残りわずか」が、実際の在庫・条件と合っているか。
  • 3送料・条件の明示「送料無料」「実質0円」の条件を、同じ見やすさで書いているか。

やり方:価格表示の1つずつを、実際の販売履歴・在庫・条件と突き合わせます。「ずっとセールなのに毎回”今だけ”」「元値で売った実績がない」が見つかったら、実態に合わせて直します。

例:「通常価格19,800円→今だけ9,800円」。その19,800円で実際に販売した実績がなければ二重価格でNG。実績のある価格を元値にするか、「メーカー希望小売価格19,800円のところ」に直します。

例:「先着100名限定」と書きながら、実際は誰でも同じ価格で買えるなら有利誤認です。本当に100名で締めるか、限定表記を外して通常価格として提示します。「残りわずか」も在庫と合っているかを確認します。

📸確認5:体験談・写真・PR表記・注記

即答:見落としが一番多いのがここです。効果の体験談・ビフォーアフター写真・PR表記・打消し注記の4つを確認します。目立つコピーより、この周辺で摘発が起きがちです。

  • 1効果の体験談「2ヶ月で−5kg」など効果を語る声。景表法・薬機法で問題。医療広告では限定解除でも不可。
  • 2ビフォーアフター写真効果を証明する使用前後の写真。医療は治療内容・費用・リスクの併記が必須。
  • 3PR・広告表記依頼した投稿・記事・口コミに「PR」「広告」の表記があるか(ステマ規制)。
  • 4打消し注記への依存「※個人の感想です」で逃げていないか。本文の主張が強すぎないか。

やり方:ページ下部・画像内・お客様の声・SNSの依頼投稿まで、普段スクロールで飛ばす部分を意識的に見ます。区分によって扱いが違うので、確認1で決めた区分に戻って判断します。

例:本文は穏当なのに、バナー画像の中に「シミが消えた!」、お客様の声に「2ヶ月で−5kg」、依頼したインフルエンサー投稿にPR表記なし——という組み合わせが典型です。文章だけ直して安心し、画像と声で違反が残るパターンに注意します。

PR表記の付け方:依頼した投稿・記事・口コミには「#PR」「広告」「◯◯社より提供」を、消費者が最初に目に入る位置に置きます。文末に小さく添えるだけでは不十分とされます。

🧾実例:あるLPを5つで通す

即答:架空のサプリLPを、5つのチェックで実際に通してみます。手順のイメージがつかめます。

元のLP(NG):「累計販売No.1! 飲むだけで脂肪を燃やし、ぽっこりお腹がスッキリ。医師も推薦。通常9,800円→今だけ4,900円。愛用者の声:2ヶ月で−6kg!」

確認見つかった問題
1 区分サプリ=原則効能不可。化粧品の基準で見ると判断を誤る
2 変化・断定・比較「脂肪を燃やす」(体の変化)「No.1」(比較)
3 根拠「−6kg」の試験データがなければ不実証で違反
4 価格「通常9,800円」で売った実績がなければ二重価格
5 体験談・写真「愛用者の声」「医師も推薦」=体験談・権威づけ

直した後(通せる):「毎日を活動的に過ごしたい方へ。メーカー希望小売価格9,800円のところ4,900円。1日3粒を目安に水などと。」(No.1・脂肪燃焼・体験談・医師推薦は削除)

5つを順に通すだけで、5箇所の危険が見つかりました。特別な知識より、順番に照らす作業が効きます。ここまでが、外注に出す前に自分でできる範囲です。

⚠️自己チェックでも漏れる理由

要点:5つをやっても、漏れは出ます。自分でやる価値は大きいですが、自社の広告には構造的な盲点があります。ここを知っておくと、どこを外に出すかの判断がつきます。

自社は「盛っている自覚」が消える

毎日見ている表現は、大げさでも普通に見えてきます。作った本人ほど、危ない箇所に気づけません。

対策:第三者の目で、前提なしに読んでもらう。

最新の摘発事例を追えない

措置命令やガイドライン改正は日々更新されます。去年OKでも今年NG、という表現があります。

対策:事例を追っている人に、最新基準で見てもらう。

複数の法律の横断で抜ける

薬機法は避けたのに景表法で引っかかる、など、1つの表現に複数法がかかる場合を見落とします。

対策:法域を横断して1文を見る視点を入れる。

画像内の文字・注記を飛ばす

バナー画像の中の文言、ページ下部の注記、依頼した口コミは、自分では無意識に飛ばしがちです。

対策:画像内テキストと注記を、別枠で洗い直す。

これらは、能力ではなく立場の問題です。作った本人が、同じ広告を客観的に読むのは難しい。だからこそ、自己チェックで9割を落とし、残りを外の目で見てもらう分担が現実的です。

🧭外注すべき場面の判断

即答:5つを全部やってなお、次に当てはまるなら、第三者チェックに回すのが安全です。全部を外注するのではなく、「自分では判断しきれない所」だけを出すのが、費用対効果の高い使い方です。

  • 1効果・数値・No.1をうたっている根拠の十分さは、外部の目で見た方が確実。
  • 2区分がグレーサプリで美容を言いたい、雑貨で効果を匂わせたい等、判断が割れる場合。
  • 3医療・美容医療の広告禁止類型・限定解除・未承認の扱いが複雑で、影響も大きい。
  • 4売上規模が大きい課徴金の額も大きくなるため、事前チェックの価値が上がる。
  • 5制作を外注し、確認体制がない作る人と確認する人が同じだと、盲点が残りやすい。

外部に出すときの渡し方

第三者に見てもらうときは、次を添えると速く・安く済みます。①広告のURLまたは原稿 ②商材の区分(化粧品・サプリ・医療など) ③特に訴えたい効果・数値 ④その根拠資料の有無。自己チェックで印をつけた箇所も一緒に渡すと、判断に迷った所に集中してもらえます。

5つのチェックのあと、残った不安を無料で診断します

まずはご自身で5つを回してみてください。そのうえで「ここは判断がつかない」という箇所を、御社の広告1つとあわせてお送りいただければ、リスクの高い所を、訴求力を落とさない直し方とともにお伝えします。15分・オンライン・売り込みはしません。無料で広告診断を予約する

❓よくある質問

Q. 自分でチェックすれば、外注は要りませんか?

危険な箇所の多くは自分で見つかります。ただし、自社の盲点・最新事例・複数法の横断は漏れやすいので、効果や数値をうたう広告は、第三者チェックを併用すると安全です。

Q. どの資料を見ればチェックできますか?

各法のガイドライン(消費者庁・厚生労働省の公開資料)が基本です。ただ、条文を読むより、この記事の5つの観点で自社広告を照らす方が速く実務的です。

Q. 制作会社に任せた分も、自社の責任ですか?

はい。表示の責任は最終的に広告主にあります。外注先の表現も、公開前に自社で確認する前提で進めてください。

Q. 無料診断では何を見てもらえますか?

広告1つについて、リスクの高い箇所と、その理由、訴求力を落とさない言い換えの方向性をお伝えします。最終的な適法性は、顧問弁護士等への確認を前提としています。

Q. チェックはどのくらい時間がかかりますか?

1つのLPなら、慣れれば30〜60分で一周できます。最初は時間がかかっても、型を覚えると次から速くなります。

Q. どのくらいの頻度で見直せばいいですか?

新しい広告を出すたびが基本です。加えて、ガイドライン改正や、同業への措置命令が話題になったタイミングで、既存の広告も見直すと安全です。

Q. AIやツールでチェックできますか?

下書き段階の一次チェックには役立ちます。ただし、区分の判断や最新事例の反映、複数法の横断は取りこぼしが出ます。重要な広告は、最後に人の目を通す前提で使ってください。

Q. 5つのどれから始めればいいですか?

必ず確認1(区分)からです。区分が決まらないと、他の確認の基準が定まりません。そのあとは番号順に進めれば、迷いにくくなります。

📝まとめ:今日のチェック順番

外注前にやる5ステップ

  • 確認1:商材の区分を決め、かかる法律を確定する
  • 確認2:1文ずつ「体の変化・断定・比較」をマークする
  • 確認3:効果・数値・No.1に、今すぐ出せる根拠があるか見る
  • 確認4:価格・限定・条件を、実際の履歴と突き合わせる
  • 確認5:体験談・写真・PR表記・注記を、飛ばさず洗う

この順番で一周し、印のついた箇所を直します。全部やってなお判断がつかない所だけ、第三者に回せば十分です。

完璧を目指すより、まず1本を最後まで通すことが大事です。1周すれば、自社の広告のクセが見えてきます。次からは、作りながら同じ観点で防げるようになります。

本コラムは広告表現に関する一般的な解説であり、法的助言・鑑定ではありません。記載内容は薬機法・景品表示法・医療広告ガイドライン等の公開情報に基づく参考情報で、行政の判断や個別事案の結論を保証するものではありません。法令・運用は改正される場合があります。個別の広告の最終的な適法性は、貴社の顧問弁護士等の専門家にご確認ください。