サプリLPで繰り返し見かける「危ない書き方」19パターン|薬機法・景表法・特商法
広告法務・薬機法
目次

1本のLPで、指摘18件

悪意ではなく「よくある構成」をなぞった結果、そうなります

薬機法管理者として、健康食品や化粧品のランディングページ(LP)の文言チェックを依頼されることがあります。先日チェックした1本のLPでは、薬機法まわりだけで9か所、景品表示法で7か所、特定商取引法で2か所の指摘が出ました。1ページの中で、です。依頼元が特定できる情報は出せませんので、商品名・企業名・原文はすべて伏せます。そのうえで「どういう構造の文章が、どの条文のどこに触れる可能性があるのか」だけを取り出し、架空のサプリLPに置き換えて整理しました。登場する例文はすべてこちらで書き起こした創作です。
はじめに立場を明示します:筆者は薬機法管理者であって、弁護士ではありません。ここに書くのは「行政の公表資料と通知を読む限り、こう判断される可能性が高い」という一次スクリーニングの目線です。最終的な適法性の判断は、監督官庁や弁護士など専門家の領域になります。表現を採用するかどうかの最終判断は、必ずそちらを通してください。

🧪題材にする架空のLP

以下、この設定で話を進めます。実在の商品・企業とは関係ありません。

── 架空のサプリLP(設定) ──
項目 設定
商品 マグネシウムを配合したサプリメント(一般食品。特定保健用食品でも機能性表示食品でもない)
ターゲット デスクワーク中心の30〜40代
販売形態 公式サイトのみ、初回割引つきの定期購入
LPの構成 症状チェックリスト → 成分の科学的説明 → 利用者の体験談 → 価格訴求 → 申込ボタン

よくある構成です。そして、この「よくある構成」そのものが、指摘の温床になります。テンプレートとして流通している型をなぞった結果、気づけば十数か所の指摘が並ぶ、という順序です。

⚖️前提|関係する4本の法律と1本の通知

型の話に入る前に、どの物差しで測っているかを共有しておきます。ここが曖昧なまま「なんとなくNG」と言われるのが、現場でいちばん困るところなので。

薬機法 第68条|未承認品の効能効果広告の禁止

未承認の医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器について、その名称・製造方法・効能・効果・性能に関する広告を禁じています。ポイントは、対象が「効かない商品を売ったこと」ではなく「承認を受けていないのに効能効果を広告したこと」だという点です。

ここを取り違えると危険:書いてある内容が科学的に正しいかどうかは、この条文の判断とは切り離されます。事実であっても、承認のない一般食品が医薬品的な効能効果を標榜した時点で問題になり得ます。「エビデンスがあるから大丈夫」という理解は、薬機法の側では守りになりません。

46通知(昭和46年6月1日 薬発第476号)

正式には「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」。どこからが医薬品的な標榜なのかを判断するための基準を示した通知で、健康食品の広告チェックでは実務上ここがいちばん使われます。

判断要素は大きく4つ。①成分本質(原材料)、②形状、③効能効果の標榜、④用法用量。このうち③の中で、次のような表現方法が医薬品的な効能効果の暗示にあたるとされています。

  • ! 名称・含有成分・キャッチフレーズによる暗示商品名やコピーそのものが効能を連想させる形。
  • ! 体験談・使用経験談による暗示「お客様の声」の形式でも、評価は変わりません。
  • ! アンケート方式・健康チェック方式による暗示症状を挙げて自己診断させ、自社商品を推薦する構成。
  • ! 新聞・雑誌記事、医師・学者の談話の引用による暗示第三者の口を借りても、広告主の標榜として扱われます。

「疲労回復」「体力増強」「食欲増進」「老化防止」といった語は、通知やその後の運用の中で医薬品的効能効果の典型例として扱われてきました。この語感に近い表現は、一般食品では避けるのが安全側の判断になります。

健康増進法 第65条|誇大表示の禁止

食品として販売する物について、健康の保持増進の効果に関して著しく事実に相違する表示・著しく人を誤認させる表示を禁じています。薬機法68条とは別建ての規制なので、同じ一文が両方に触れることがあります。サプリの体験談は、この二重適用が起きやすい典型です。

景品表示法 第5条|優良誤認・有利誤認

── 景表法5条の2つの柱 ──
条項 内容 サプリLPでの典型
5条1号
優良誤認
品質・規格・内容について、実際より著しく優良と示す表示 最大級表現、根拠なき比較、機関の使用実績
5条2号
有利誤認
価格・取引条件について、実際より著しく有利と示す表示 二重価格、根拠なき最安値主張
不実証広告規制(景表法 第7条第2項):消費者庁が優良誤認の疑いを持った場合、事業者に合理的根拠を示す資料の提出を求めることができ、原則15日以内に出せなければ、その表示は優良誤認とみなされ得ます。「指摘されてから根拠を集めればいい」が通用しない設計になっている、ということです。

特定商取引法 第11条・第12条の6

11条は通信販売の広告に必要な記載事項(事業者名・住所・電話番号・販売価格・送料・支払方法・引渡時期・返品特約など)を定めています。12条の6は2022年6月施行で、定期購入の申込み最終確認画面での表示義務を定めたものです。定期購入まわりの指摘は、近年もっとも件数が伸びている領域です。

💬パターンA|体験談まわり(4型)

いちばん指摘が集中するブロックです。「お客様の声だから」という理由で緩くなりがちですが、46通知が体験談による暗示を明示している以上、形式が体験談でも評価は変わりません。むしろ体験談は、書き手の意識が緩む分だけ踏み込んだ表現が出やすく、リスクの高い場所です。

A-1|呼吸・循環など身体機能の改善を語らせる

NG例(架空):「飲みはじめてからは、階段をのぼっても息が上がらなくなりました」

なぜ引っかかるか。息が上がらなくなった、という記述は呼吸・循環機能の具体的な改善を意味します。一般食品にこの機能改善を期待させる表示は、薬機法68条の効能効果の標榜に該当する可能性が高い部分です。加えて、食品の健康保持増進効果の表示にあたるため、健康増進法65条にも同時に触れ得ます。

根拠:薬機法68条/46通知(体験談による効能効果の暗示)/健康増進法65条
言い換え案:「粒が小さくて、朝の習慣に組み込みやすいです」
身体の変化ではなく使用感に着地させるのが原則です。飲みやすさ、続けやすさ、味、粒のサイズ。この範囲であれば身体機能の話にはなりません。

A-2|「疲れが取れた」と言わせる

NG例(架空):「一日の終わりのだるさが、すっと軽くなりました」

なぜ引っかかるか。疲労回復は、医薬品的効能効果の典型例として長く扱われてきた表現です。「だるさが軽くなる」は言い換えているだけで、意味内容は疲労回復そのもの。類義語への置き換えでは回避できません。ここは実務上いちばん誤解されやすいところで、「疲労回復とは書いていない」という反論は通りにくいと考えたほうがいいです。

根拠:薬機法68条/46通知(効能効果の標榜・体験談)/健康増進法65条
言い換え案:「夜のルーティンに加えてから、続けるのが苦にならなくなりました」

A-3|成果と製品を並べる(打消し表示つき)

NG例(架空):「半年続けたら、10年ぶりに体力測定の記録が伸びました!※ ※適度な運動と食事管理を併用した結果です」

なぜ引っかかるか。体力・運動能力の向上は、身体の機能的変化にあたります。半年間の摂取と成果を並置すれば、読み手は因果として受け取ります。

問題は末尾の「※」です。消費者庁の「打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点」では、本文の訴求が強い場合、打消し表示は誤認を打ち消せないという整理がされています。本文で強く効果を語り、注釈で小さく否定する構造は、打消し表示が機能していないと判断されるおそれがあります。景表法5条1号の優良誤認の論点にもなります。

根拠:薬機法68条/46通知/景表法5条1号(打消し表示の機能不全)
言い換え案:「トレーニングを続けながら、食事の栄養バランスも意識するようにしました」
打消し表示を足して守るのではなく、打消しが必要な本文を書かない。これが正しい順序です。注釈で守れる範囲は、実務上かなり狭いと考えておいたほうが安全です。

A-4|商品名を主語にして因果を明言する

NG例(架空):「このサプリのおかげで、久しぶりに記録が伸びました」/「最後のピースがこれでした」

なぜ引っかかるか。体験談の中でもっとも重い形です。「おかげで」は因果の明示であり、身体の変化を商品に直接帰因させています。A-3と同じ趣旨の主張でも、因果を言葉で結んだ時点で独立した指摘対象になり得ます。実際、1本のLPの中で同じ主張が冒頭と末尾に置かれ、それぞれ別件としてカウントされるケースがあります。

根拠:薬機法68条/46通知(体験談による暗示のうち、因果を明示する形態)
言い換え案:「栄養バランスを見直していた時期に、あわせて取り入れていました」
「〜のおかげで」「〜が決め手」「〜に変えてから」といった因果の接続を、時期の並置(相関)にとどめる書き換えです。ニュアンスは残しつつ、断定を外します。

📋パターンB|症状チェックリストからの誘導(3型)

46通知が名指ししている「アンケート方式・健康チェック方式」です。個々の項目は無害に見えるのに、構成として組み上がった瞬間に効能標榜になる、という厄介な型です。

B-1|症状リスト →「この方法を試してください」

NG例(架空):「□ 夕方になると集中が続かない □ 朝の目覚めが重い □ 肩まわりがずっと張っている □ 以前より疲れやすい ── ひとつでも当てはまる方へ。これから紹介する方法を、ぜひ試してみてください」

なぜ引っかかるか。症状を列挙して自己診断させ、その直後に自社商品を解決策として提示する。これが46通知の言う健康チェック方式そのものです。「この商品は疲れに効きます」と一度も書いていなくても、構成が言っていると評価されます。チェックリストと商品紹介のあいだに「話題を変える見出し」を1本挟む程度では、文脈は切れません。

根拠:薬機法68条/46通知(アンケート方式・健康チェック方式による暗示)
改善の方向:チェックリストを残したいなら、商品導線から完全に切り離した一般コラムにします。同一ページ内に置くなら、商品側の説明は「毎日の栄養補給に」といった補給目的の記述にとどめる。

B-2|症状を成分不足のサインとして提示する

NG例(架空):「その重さ、ミネラル不足のサインかもしれません。下の表に当てはまる方は、体内の蓄えが減っている状態かも」

なぜ引っかかるか。症状 → 原因の特定 → 商品による解消、という三段構えが完成します。原因を特定して解消手段を示す行為は、医薬品の役割に近づきます。とくに疾病を思わせる症状を扱うと、危険度は一段上がります。「〜かもしれません」「〜かも」という緩衝表現があっても、構成が診断的である以上、評価は大きく変わらないと考えたほうがいいです。

根拠:薬機法68条/46通知(効能効果の暗示・症状診断的な構成)
言い換え案:「ミネラルは日々の食事から不足しやすい栄養素のひとつです。食事のバランスとあわせて補給を意識してみてください」
特定の症状と商品を結ばない。これが唯一の解です。

B-3|精神・気分への作用をにおわせる

NG例(架空):「□ 気持ちが落ち込みやすい」(不足のサインとして列挙)

なぜ引っかかるか。気分や精神状態への作用は、身体の変化の中でも慎重に扱われる領域です。承認のない一般食品が精神面への作用を暗示すれば、薬機法68条に触れる可能性があります。チェックリストの1項目として紛れ込みやすいので、見落としが起きやすい箇所でもあります。

根拠:薬機法68条/46通知
改善の方向:精神状態に関する記述は、項目ごと削除します。

🔬パターンC|一般論と商品の接続(2型)

「成分の科学的説明は事実だから問題ない」——これは半分だけ正しい話です。

C-1|「〜に課題がある人へ」という名指し

NG例(架空):「集中力の持続に課題がある方は、ミネラルの量をしっかり増やしたいところです」

なぜ引っかかるか。一般論としてのミネラルの働きは、事実として書けます。しかし「課題がある人」を名指しして、その解決手段として商品を提示すれば、一般論が商品の効能説明に転化します。事実であることは、この判断を助けてくれません。

根拠:薬機法68条/46通知(効能効果の暗示)
言い換え案:「毎日のミネラル補給に」

C-2|科学的事実を商品の因果説明に流用する

NG例(架空):「パフォーマンスを上げたい方へ。ミネラルの量と体の働きには関係があります※」

なぜ引っかかるか。成分の生理作用そのものは、教科書に載っている話です。問題は配置で、商品訴求の直前・直後に置けば、読み手は「この商品を飲めばそうなる」と読みます。一般情報と商品説明が、視覚的にも文脈的にも切れていない状態です。

根拠:薬機法68条/46通知
改善の方向:成分の科学的説明は、囲み枠や別セクションで物理的に分離します。「成分に関する一般的な情報であり、本商品の効果を示すものではありません」という趣旨の記載を添える。そのうえで、商品側は補給目的の表現にとどめます。

参考|一般食品でも書ける枠がある

栄養機能食品の規格基準に適合し、必要な表示を行えば、定型文として決められた栄養機能表示が使えます。マグネシウムであれば「骨や歯の形成に必要な栄養素です」「多くの体内酵素の正常な働きとエネルギー産生を助けるとともに、血液循環を正常に保つのに必要な栄養素です」といった表現が該当します。

ただし自由な枠ではありません:表示できるのは定められた文言のみで、注意喚起表示や「特定保健用食品と異なり、消費者庁長官による個別審査を受けたものではありません」といった表示が併せて必要になります。より踏み込んだ機能を訴求したいなら、機能性表示食品としての届出を検討する、という別ルートの話になります。

「言えないこと」を数えるより、言える枠がどこにあるかを先に確定させる。LP制作の順序としては、こちらのほうが早いです。枠が決まれば、その中では堂々と書けます。

💴パターンD|価格・比較・最上級(5型)

ここからは景表法の領域です。薬機法ほど注目されませんが、措置命令や課徴金という形で表に出やすいのはむしろこちらです。

D-1|権威ある組織の使用実績

NG例(架空):「有名大学の研究室でも採用されている話題のサプリ」

なぜ引っかかるか。組織名を出した使用実績の主張は、公式の許諾と確認書面がなければ、事実と異なる優良誤認にあたるおそれがあります。加えて「話題の」「神サプリ」といった最大級・最上級の品質表現は、それ自体が合理的根拠を要する表現です。不実証広告規制で資料提出を求められた際、口頭の了解では立証できません。

根拠:景表法5条1号/同7条2項(不実証広告規制)
改善の方向:書面で許諾を取ったうえで「〇〇にご使用いただいています(許諾取得済み)」とする。取れないなら削除。最上級表現は「多くの方にご愛用いただいています」といった実態ベースの表現に落とします。

D-2|二重価格・割引率の表示

NG例(架空):「今なら60%OFF。通常価格で買うと5,000円以上の差になります」

なぜ引っかかるか。割引率の基準となる「通常価格」が、実際に相当期間販売されていた価格でなければ、有利誤認にあたるおそれがあります。消費者庁の「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」では、比較対照価格として使える過去の販売価格について、次の考え方が示されています。

── 過去の販売価格を比較対照に使う場合の目安 ──
要件 内容
販売期間 セール開始時点からさかのぼる8週間のうち、過半の期間で販売されていたこと
直近性 その価格での販売終了から2週間以上経っていないこと
短期販売の場合 販売期間が8週間未満なら、その期間の過半で販売されていたこと

一度も売っていない価格を「定価」として設定し、そこから割り引く手法は、典型的な違反類型です。「5,000円以上の差」という差額表示も、比較対象価格の実態確認が前提になります。

根拠:景表法5条2号/消費者庁「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」
改善の方向:比較対照価格の販売実績と期間を併記する。実績がないなら「初回特別価格 3,218円(税込)」のように絶対価格だけを示します。割引率を捨てるのは怖いかもしれませんが、根拠のない割引率は、行政対応のコストのほうが高くつきます。

D-3|根拠のない誇大表現

NG例(架空):「違いは圧倒的。絶賛の声が続々と届いています」

なぜ引っかかるか。「圧倒的」は品質の著しい優良性の主張、「絶賛の声多数」は顧客評価に関する事実の主張です。どちらも15日以内に合理的根拠を求められ得る表現ですが、この手の文言は雰囲気で書かれていることが多く、根拠資料が存在しません。

根拠:景表法5条1号/同7条2項
改善の方向:顧客調査を根拠にするなら、調査主体・対象人数・実施期間・調査方法まで明記します。それがないなら「ご愛用いただいているお客様からお声をいただいています」程度に。

D-4|「某〇〇より安い」という伏字比較

NG例(架空):「初回価格は、某有名アミノ酸ドリンクより安い設定です」

なぜ引っかかるか。比較広告については、消費者庁の「比較広告に関する景品表示法上の考え方」で3つの要件が示されています。①比較対象の明示、②客観的に実証された数値・事実による裏付け、③正確かつ公正な比較。「某」という伏字は、①を意図的に満たさない書き方です。

読み手が検証できない比較は、比較広告の要件を満たしません。伏字は責任回避に見えますが、要件を欠く分むしろ弱い立場になります。

根拠:景表法5条1号/消費者庁「比較広告に関する景品表示法上の考え方」
改善の方向:商品名を明示して根拠データを添えるか、比較そのものをやめて「続けやすい価格でご用意しています」といった絶対表現に切り替えます。

D-5|「どこよりもお得」系の最安値主張

NG例(架空):「2回目以降も、公式サイトならどこよりもお得に続けられます」

なぜ引っかかるか。「どこよりも」は、全販売チャネルとの比較を主張する最大級表現です。証明するには全流通の価格調査データが要ります。ほとんどの場合、その調査は行われていません。優良誤認・有利誤認の両方にかかり得ます。

根拠:景表法5条1号・2号
改善の方向:「公式サイト限定の価格でご提供しています」という、自社内に閉じた事実の記述に変えます。どうしても最安値を言うなら、調査日・対象チャネル・調査方法を明記して初めて成立します。

🔁パターンE|定期購入と事業者情報(2型)

近年、行政の目がもっとも厳しくなっている領域です。

E-1|定期購入条件の不明示

NG例(架空):「解約はいつでも簡単。定期の縛りもないので安心です」/「初回限定 3,218円で試してみる」

なぜ引っかかるか。「簡単」「縛りなし」は、法的な明示義務を満たしません。特商法11条・12条の6で求められるのは、次のような具体的情報です。

  • 2回目以降の販売価格と送料初回価格だけを大きく出す構成は、それ自体が誤認の温床。
  • 引渡し・提供の時期と周期「4週間ごと」など、次がいつ届くかを明示。
  • 契約回数の縛りの有無と支払総額回数縛りがあるなら、総額まで示す。
  • 解約の期限・方法・条件次回発送の何日前までに、どの手段で連絡するか。

2022年6月施行の改正で、最終確認画面での表示が明確に義務づけられました。広告本文と最終確認画面の両方で整合が取れている必要があります。「解約も簡単」という曖昧な表現だけを置くのは、誤認を招く表示として指摘されるおそれがあります。

根拠:特商法11条・12条の6
改善の方向:「2回目以降 〇,〇〇〇円(税込・送料〇円)/お届け周期 4週間ごと/回数の縛りなし・いつでも解約可(次回発送日の10日前までに電話またはマイページからご連絡ください)」——このレベルの粒度まで書きます。書くと売れなくなる、という懸念は理解できますが、書かずに集めた注文は、後から返金対応で消えます。

E-2|事業者情報の不足

NG例(架空):LPフッターに「運営会社情報」というリンクテキストだけが置かれ、実体が確認できない

なぜ引っかかるか。通信販売の広告には、事業者名・住所・電話番号・価格(送料を含む)・支払方法・引渡時期・返品特約の明示が義務づけられています。会社名だけがあって住所・電話番号・返品特約が確認できない状態は、義務を果たしているか判断できません。

返品特約は「書かないほうが不利」:返品特約の記載がない場合、法定のルール(商品到着後8日以内の返品可)が適用されます。書かずに済ませると、事業者にとって不利な条件が自動的に乗る、という構造です。
根拠:特商法11条
改善の方向:住所・電話番号・メールアドレス・返品特約(商品に欠陥がない場合の返品可否、期間、送料負担)・支払方法・引渡時期を、LP上またはリンク先に明記します。

パターンF|希少性の演出(1型)

NG例(架空):「在庫の状況によっては購入できなくなることもあるそうです。売り切れで予約待ちになったこともあるとか。お早めに」

なぜ引っかかるか。在庫の逼迫を訴えて購入を急がせる手法は、実際の在庫状況と乖離していたり、常態的に繰り返されていたりする場合、消費者の合理的な判断を妨げる表示として問題になり得ます。

気になるのは「そうです」「とか」という伝聞形です。事実として書けない内容を、伝聞の形で責任を回避しつつ載せる。この書き方をしている時点で、裏付けとなる在庫データが存在しない可能性が高いと読まれます。伝聞形は防御にならず、むしろ根拠の不在を示す痕跡として機能します。

根拠:景表法5条1号
改善の方向:実在庫に基づく客観的な表示にする。数字が出せないなら、演出そのものを外します。

🌡️危険度をどう見積もるか

チェックレポートでは、指摘ごとに5段階の危険度を付けています。目安はこう置いています。

── 危険度の目安(筆者のレポート基準) ──
危険度 状態 該当例
5 違反濃厚。公開前に必ず修正 体験談で身体機能の改善・疲労回復を明示/製品への直接的な因果帰因
4 違反リスク高。合理的根拠がなければ修正 症状チェックリストからの誘導/根拠のない二重価格/定期購入条件の不明示
3 要注意。根拠の準備または表現の調整 最大級表現/不明確な比較/希少性の演出
2 グレー。文脈次第 成分説明と商品訴求の距離が近い
1 軽微。記録として残す 用語の揺れ、注釈の可読性
見落とされがちなのは、危険度4以下の積み上がりです。1つひとつは「まあ大丈夫では」と流せても、ページ全体で15か所並べば、LP全体の印象として強い効果訴求が成立してしまいます。打消し表示が機能しなくなるのも、この積み上がりが原因です。個別の文言を1行ずつ直すだけでは足りず、ページ全体でどんな期待を作っているかを見る必要があります。

公開前チェックリスト

実務で使っている項目を、そのまま置いておきます。制作の最後ではなく、構成案の段階で通すのがおすすめです。

体験談ブロック

  • 身体の変化に触れた記述はないか呼吸・循環・疲労・体力・気分。ここに触れたら赤信号。
  • 因果を明示する接続はないか「〜のおかげで」「〜が決め手」は相関表現に置き換える。
  • 使用感の範囲に収まっているか飲みやすさ・続けやすさ・味・粒のサイズ。
  • 注釈で打ち消す構造に頼っていないか打消しが必要になった時点で、本文を書き直す。

構成

  • 症状チェックリストから商品導線が直接つながっていないか見出し1本挟むだけでは文脈は切れない。
  • 症状を成分不足の「サイン」として提示していないか症状→原因特定→解消、の三段構えを作らない。
  • 成分の科学的説明が、商品の因果説明に転用されていないか事実であることは免罪符にならない。
  • 一般情報と商品説明が、視覚的にも文脈的にも分離されているか囲み枠・別セクションで物理的に切る。

価格・比較

  • 比較対照価格に、実際の販売実績と期間の裏付けがあるか8週間のうち過半の期間、販売終了から2週間以内。
  • 最大級表現の根拠資料が、いま手元にあるか「圧倒的」「No.1」「どこよりも」。15日以内に出せるか。
  • 比較対象を明示しているか「某〇〇」の伏字は、比較広告の要件を満たさない。
  • 第三者組織の名称使用について、書面の許諾があるか口頭の了解では立証できない。

定期購入・事業者情報

  • 2回目以降の価格・周期・総額・回数を明記しているか初回価格だけを大きく出していないか。
  • 解約の期限・方法・条件を具体的に書いているか「いつでも簡単」だけでは義務を満たさない。
  • 広告本文と最終確認画面の記載が一致しているか両方で整合が取れている必要がある。
  • 事業者名・住所・電話番号・返品特約が確認できるか返品特約は、書かないほうが不利になる。

全体

  • 「在庫僅少」等の演出に、実データの裏付けがあるか伝聞形は防御にならない。
  • 危険度3以下の指摘が、ページ全体で積み上がっていないか個別に軽微でも、総体で強い効果訴求になる。

よくある質問(FAQ)

Q. 体験談なら本人の感想だから問題ないのでは?

46通知が体験談による効能効果の暗示を明示的に挙げているため、形式が体験談であっても評価は変わらないと考えたほうが安全です。むしろ体験談は、書き手の意識が緩む分だけ踏み込んだ表現が出やすく、リスクの高い場所になります。

Q. 書いている内容が事実なら大丈夫ですか?

薬機法68条は、承認のない商品が効能効果を広告することを禁じています。内容の真偽は、この条文の判断とは切り離されます。エビデンスの有無は、景表法の不実証広告への備えとしては意味を持ちますが、薬機法の側では守りになりません。

Q. 注釈(打消し表示)を入れれば回避できますか?

消費者庁の打消し表示に関する整理では、本文の訴求が強い場合、注釈は誤認を打ち消せないとされています。注釈が必要になった時点で、本文を書き直す判断のほうが早いです。

Q. 「疲労回復」と書かなければ大丈夫ですか?

語そのものを避けても、「だるさが軽くなる」「翌朝の重さが残らない」のように意味内容が同じであれば、同様に扱われる可能性があります。類義語への置き換えは回避策になりにくい、と考えたほうが安全です。

Q. グレーゾーンはどこまで攻められますか?

攻める・攻めないの前に、言える枠を確定させる順序をおすすめします。栄養機能食品の規格基準に適合するか、機能性表示食品として届け出るか。枠が決まれば、その中では堂々と書けます。枠を決めずに一般食品のままグレーを攻めるのは、費用対効果が悪い戦い方です。

Q. チェックはいつやるのが効率的ですか?

書き上がったLPに赤入れするより、構成案の段階でチェックリストを通すほうが、修正コストは大幅に下がります。体験談・チェックリスト・価格訴求は、構成が決まった時点でリスクの大半が確定するためです。

📝まとめ|型を知れば設計段階で避けられる

1本のLPで18件の指摘、というのは決して珍しい数字ではありません。制作者に悪意があるわけでもなく、テンプレートとして流通している構成をなぞった結果、こうなります。体験談で身体の変化を語らせ、症状チェックリストから商品へ誘導し、根拠のない割引率と最大級表現を並べる。どれも「よく見る型」です。

裏を返せば、型さえ知っていれば設計段階で避けられるということでもあります。書き上がったLPを赤入れして直すより、構成案の段階でチェックリストを通したほうが、修正コストははるかに小さく済みます。

この記事のポイント

  • 薬機法68条は「効かないこと」ではなく「承認なく効能効果を広告すること」を禁じている。事実かどうかは別問題
  • 46通知は、体験談・健康チェック方式による効能の暗示を明示的に挙げている。形式を変えても評価は変わらない
  • 症状リスト→商品導線は、1文字も効能を書かなくても構成が効能を語ってしまう
  • 成分の科学的事実は、商品訴求と物理的に分離してはじめて一般情報にとどまる
  • 景表法は不実証広告規制(7条2項)により、原則15日以内の根拠提出が求められる
  • 二重価格は「8週間のうち過半の期間で販売、終了から2週間以内」が目安
  • 定期購入は、2回目以降の価格・周期・総額・解約条件を広告と最終確認画面の両方に明示
  • 危険度3以下の指摘も、積み上がればページ全体の効果訴求として評価される