自院のホームページも「広告」です
禁止広告・限定解除を、自院のサイトに当てはめて判断する
医療広告のルールは、他の業種より厳しくできています。患者の生命や身体に関わるからです。2018年の医療法改正で、クリニックのホームページやランディングページも「広告」として規制対象になりました。「うちはHPだから大丈夫」は、もう通りません。ここでは、禁止される広告と、要件を満たせば言える「限定解除」を、自院の表現に当てはめて判断できる形で整理します。
📋 目次
- 医療広告は原則禁止事項が多く、Webも対象
- 自己診断:この6パターンに当てはまっていないか
- 禁止される広告の6類型
- 体験談・ビフォーアフターの厳格ルール
- 限定解除の要件(この分野の肝)
- 未承認医薬品・医療機器の広告
- 品位を損ねる広告(費用強調・キャンペーン)
- NG→OK 言い換え・直し方集
- 迷ったときの判断ステップ
- よくある質問
- まとめ:今日やる順番
🎯医療広告は原則禁止事項が多く、Webも対象
結論:医療広告には、他業種にない2つの特徴があります。①禁止される表現の類型が明確に定められている ②広告できる事項が原則、法令で認められた範囲に限られる。そして、要件を満たせば範囲を広げられる「限定解除」があります。自院の表現が禁止類型に触れていないか、限定解除の要件を満たしているか、で判断します。
ホームページも「広告」になった
2018年の医療法改正まで、患者が自ら検索して見るホームページは、広告規制の対象外とされていました。改正後は、クリニックのHP・LP・メルマガも「広告」に含まれます。誘引性(患者を集める意図)があり、医療機関が特定できるものは、原則すべて対象です。
解除しなくても広告できること
限定解除をしなくても、法令で定められた基本事項は広告できます。医師・歯科医師の氏名、診療科名、病院・診療所の名称と住所・電話番号、診療日と診療時間、予約の要否、保険診療の内容などです。まずはこの範囲で正確に伝え、詳しい情報が必要なところで限定解除を使う、という順番になります。
違反するとどうなるか
行政処分と罰則:違反が見つかると、都道府県知事等から中止命令・是正命令が出ます。従わない場合は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金の対象です。虚偽広告は、命令を経ずに直接罰せられることもあります。景表法のような課徴金はありませんが、行政処分と信用低下のダメージは大きいものです。
🔍自己診断:この6パターンに当てはまっていないか
使い方:次の6つのどれかに当てはまる表現があれば、その箇所は医療広告ガイドライン違反の可能性が高い部分です。トップページ・施術ページ・料金ページ・症例写真・院長紹介まで、1つずつ照らしてください。
- 1絶対安全・必ず治ると言っている例:絶対に安全/必ず治る/100%成功/リスクなし。虚偽・誇大にあたる。
- 2No.1・最高・日本一を使っている例:症例数日本一/最高の技術/地域No.1のクリニック。比較優良広告。
- 3患者の体験談を載せている例:「先生のおかげで綺麗になりました」等の口コミ・感想。原則禁止。
- 4ビフォーアフター写真を説明なしで載せている治療内容・費用・リスク・副作用の記載がない術前術後写真。
- 5未承認の薬・機器を承認済みのように見せている海外製の薬剤・美容機器を、未承認である旨を書かずに広告している。
- 6安さ・キャンペーンを強調している例:今だけ◯円/モニター募集で半額/期間限定キャンペーン。品位を損ねる広告。
チェックする場所:トップだけでなく、施術ページ・料金ページ・症例写真・院長紹介・ブログ・SNS・予約LP・依頼した口コミまで見ます。症例写真ページと料金ページで見落としが起きやすいです。
判定:1つでも該当したら要修正です。次章から、なぜNGなのかと、要件を満たして言える形への直し方を見ていきます。
🚫禁止される広告の6類型
要点:医療広告では、次の6つが明確に禁止されています。これらは限定解除でも認められません(体験談・ビフォーアフターの扱いは次章)。
| 類型 | 内容・例 |
|---|---|
| 虚偽広告 | 事実と異なる表示。「絶対安全」「必ず治る」「100%成功」。虚偽は直罰の対象。 |
| 比較優良広告 | 他院より優れていると誤認させる。「日本一」「最高」「No.1」「著名人も通う」。 |
| 誇大広告 | 事実を著しく誇張。「最新の治療で若返る」「痛みは一切ない」。 |
| 公序良俗違反 | わいせつ・差別的な表現など。 |
| 体験談 | 患者等の主観・伝聞による体験談。効果に関するものは原則禁止。 |
| 誤認させる術前術後写真 | 治療内容・費用・リスク等の説明がないビフォーアフター写真。 |
「最高」「最新」に注意:「最高」「最上級」は比較優良、「最新」は誇大にあたりやすい言葉です。事実であっても、客観的に証明できないものは使えません。
これらが厳しく禁じられているのは、患者が広告を信じて受診し、健康被害や高額な負担を負うことを防ぐためです。他業種の広告より一段厳しいのは、判断を誤ったときの影響が大きいからです。
美容医療で出やすい誇大:「若返る」「アンチエイジング」「ダウンタイムなし」「痛みゼロ」「切らない◯◯」。効果や安全を実際より大きく見せる言葉は、具体的な施術内容の説明に置き換えます。

📸体験談・ビフォーアフターの厳格ルール
要点:この分野が他法より厳しいのが、体験談とビフォーアフターです。扱いが違うので、分けて理解します。
体験談は限定解除でも不可
治療の内容や効果に関する、患者等の体験談は広告できません。これは限定解除をしても認められない、強い禁止です。「痩せました」「綺麗になりました」といった口コミの掲載、口コミサイトへの依頼投稿も対象です。
NG:自院サイトの「お客様の声」で効果を語らせる。SNSやポータルで、依頼した体験談を載せる。個人の感想であっても、効果に関するものは不可です。
ポータル・口コミサイトも対象:美容医療ポータルや地図アプリの口コミでも、クリニックが依頼・誘導して効果の体験談を載せれば、広告主である自院の責任になります。「第三者のサイトだから」は理由になりません。
ビフォーアフターは”詳細説明”付きなら可
術前術後の写真は、それ単体で誤認させるものは禁止です。ただし、限定解除の要件を満たし、次の情報を併記すれば掲載できます。
併記が必要な情報:治療内容/標準的な費用/治療期間・回数/主なリスク・副作用。これらを写真の近くに、分かりやすく記載します。加工・修整した写真や、良い結果だけを選んだ表示は認められません。
キャプション例:「◯◯(自由診療)/費用:△万円(税込)/回数:1回/主なリスク・副作用:腫れ・内出血・左右差・感染など。効果には個人差があります。」写真の隣に、この程度の情報を必ず添えます。
🔑限定解除の要件(この分野の肝)
要点:医療広告は、原則として法令で認められた事項しか広告できません。しかし、患者が自ら検索して見るWebサイト等では、要件を満たせば、その制限を外して詳しい情報を載せられます。これが「限定解除」です。自由診療のクリニックにとって、ここが最重要です。
1
患者が自ら求めて入手する情報であること
Webサイトやメルマガなど、患者が自分で検索・請求して見る媒体であること。ネット広告のバナーなど、一方的に表示されるものは対象外です。
2
問い合わせ先を明記すること
表示内容について容易に問い合わせできるよう、電話番号やメールアドレス等の連絡先を記載します。
3
自由診療は費用を明記すること
自由診療について広告する場合、通常必要とされる治療内容・標準的な費用を明記します。
4
自由診療はリスク・副作用を明記すること
その治療の主なリスク・副作用についても記載します。良い面だけの説明は認められません。
誤解しやすい点:限定解除は「何でも言えるようになる魔法」ではありません。虚偽・比較優良・誇大・体験談は、限定解除をしても禁止されたままです。解除できるのは、あくまで「広告可能事項の限定」です。
限定解除できない媒体もある
限定解除が使えるのは、患者が自ら求めて見る媒体です。電車内の広告、看板、新聞・雑誌広告、一方的に表示されるネット広告のバナーは、患者が「自ら求めて入手する情報」にあたらず、限定解除できません。これらは、法令で認められた広告可能事項の範囲に収める必要があります。同じ内容でも、載せる媒体によって可否が変わる点に注意してください。
自由診療ページに入れる基本セット:①治療内容の説明 ②標準的な費用(税込・回数) ③治療期間・通院回数 ④主なリスク・副作用 ⑤問い合わせ先。この5点をそろえると、限定解除の要件を満たしやすくなります。
💉未承認医薬品・医療機器の広告
要点:国内で承認されていない医薬品・医療機器を使う治療の広告は、原則禁止です。個人輸入した海外製の薬剤・美容機器を使う自由診療で、特に問題になります。
広告するなら明記すべき4点
限定解除の要件に加えて、未承認のものについては次を明記して初めて広告できます。
- 1未承認であること国内で承認された医薬品・医療機器でない旨。
- 2入手経路医師の個人輸入等、どのように入手したか。
- 3国内承認済みの同種品の有無国内に承認された代替品があるかどうか。
- 4諸外国での安全性等の情報重篤な副作用の報告など、リスクに関する情報。
記載例:「本治療で使用する◯◯は、国内で承認された医薬品ではありません(医師の個人輸入により入手)。国内に同一成分の承認薬はありません。海外では△△等の副作用が報告されています。」——このように4点を具体的に書きます。
ありがちな抜け:「厚生労働省承認」と書けないのに、承認済みのような印象を与える表現は虚偽・誇大です。未承認の機器を「最新の医療機器」とだけ紹介するのも、上の4点がなければNGです。

⚠️品位を損ねる広告(費用強調・キャンペーン)
要点:医療広告では、医療の内容と直接関係ない誘引や、品位を損ねる表現も避けるべきとされています。特に、費用の安さやキャンペーンの強調が問題になります。
費用の安さの過度な強調
「今だけ◯◯円!!」「業界最安値」など、費用を強く打ち出す広告は、品位を損ねるものとされます。
対策:標準的な費用を、事実として落ち着いて提示する。
キャンペーン・期間限定
「期間限定キャンペーン」「先着◯名」など、緊急性で受診を煽る表現は不適切とされます。
対策:割引の煽りでなく、治療内容と費用の情報提供に徹する。
モニター募集で安く
「モニター募集・症例写真提供で半額」は、費用強調に加え、体験談・写真の利用でも問題になりやすい。
対策:モニター表現に頼らない集患設計に切り替える。
医療と無関係な誘引
「◯◯プレゼント」「来院で△△進呈」など、医療の内容と関係ない特典での誘引。
対策:受診の判断材料になる情報で選んでもらう。
口コミ・ポータル・アフィリ広告の扱い
集患を外部に頼るときも、責任は自院に残ります。美容医療ポータルへの掲載、アフィリエイト記事、インフルエンサーの投稿でも、自院が依頼・誘導していれば、その表現の責任を問われます。掲載前に、禁止類型や限定解除の要件を満たしているかを確認する体制が必要です。
🔄NG→OK 言い換え・直し方集
要点:禁止類型は「削除」または「事実+要件」に直します。限定解除でカバーできるもの(費用・写真)と、できないもの(体験談・No.1)を分けて考えます。
| 訴求 | NG表現 | OK表現(通せる直し方) |
|---|---|---|
| 安全性 | 絶対に安全/リスクなし | 主なリスク・副作用を併記したうえで治療内容を説明 |
| 実績 | 症例数日本一/地域No.1 | 客観的に示せる事実のみ(例:◯年開業、症例数◯件) |
| 体験談 | 患者の「綺麗になった」の声 | 削除(限定解除でも不可)。医師による治療説明に置換 |
| 症例写真 | ビフォーアフター写真のみ | 治療内容・費用・期間・リスク・副作用を併記 |
| 機器・薬 | 最新機器(未承認を明かさず) | 未承認である旨・入手経路・国内承認品の有無・リスクを明記 |
| 費用 | 今だけ半額キャンペーン | 標準的な費用を事実として提示 |
| 脱毛 | 永久脱毛/二度と生えない | 効果の永続性を断定しない(医療レーザー脱毛の内容を説明) |
| 歯科 | 絶対に痛くない/必ず白くなる | 一般的な痛みの程度・個人差・リスクを添えて説明 |
| 誇大表現 | プチ整形/切らない若返り | 具体的な施術名・治療内容で表示する |
危ない広告の直し方(例)
実際のクリニックサイトに近い形で、どこを直すかを見ます。
Before(NG):「症例数地域No.1! 絶対に失敗しない最新の脂肪吸引。今ならモニター価格。患者様の声:先生のおかげで理想の体に!」
After(通せる):「脂肪吸引(自由診療)。標準的な費用◯円、治療期間◯回。主なリスク・副作用:内出血・腫れ・左右差等。ご不明点はお電話でご相談ください。」
削除したのは「No.1」「絶対に失敗しない」「最新」「モニター価格」「患者の声」。残したのは、治療内容・費用・リスクという、患者が判断に使える事実だけです。
考え方:医療広告の要は「煽らず、事実で選んでもらう」ことです。盛った表現を足すほどリスクが増え、事実を丁寧に出すほど、比較検討している患者に選ばれます。規制への対応と集患は、実は同じ方向を向いています。
🧭迷ったときの判断ステップ
要点:グレーな表現は、次の3ステップで切り分けます。それでも判断がつかないときは、第三者の一次チェックに回すのが安全です。
1
禁止6類型に触れていないか
虚偽・比較優良・誇大・公序良俗・体験談・誤認させる写真。ここに触れるものは、限定解除でも救えません。まず削除・修正します。
「絶対・必ず・No.1・最高・最新・患者の声」は赤信号。
2
限定解除の要件を満たしているか
問い合わせ先の明記、自由診療の費用・リスクの明記。写真を載せるなら、治療内容・費用・副作用を併記しているか。
要件を満たせば、詳しい情報を載せられる。
3
未承認の薬・機器を使っていないか
使っているなら、未承認である旨・入手経路・国内承認品の有無・リスクを明記します。書けないなら広告しません。
個人輸入の薬剤・海外製機器は特に注意。
自院のサイト、医療広告ガイドラインに沿っているか無料で診断します
御院のホームページ・LPを拝見し、禁止類型・限定解除・未承認の扱いでリスクの高い箇所を、直し方とあわせてお伝えします。15分・オンライン・売り込みはしません。無料でサイト診断を予約する
❓よくある質問
Q. ホームページも規制の対象ですか?
はい。2018年の医療法改正で、クリニックのHP・LP・メルマガも「広告」に含まれます。「自分で検索して見るサイトだから規制外」は、現在は当てはまりません。
Q. ビフォーアフター写真は一切ダメですか?
いいえ。限定解除の要件を満たし、治療内容・費用・期間・リスク・副作用を併記すれば掲載できます。加工写真や、良い結果だけの表示は不可です。
Q. 患者さんの声(体験談)はどうですか?
治療の内容・効果に関する体験談は、限定解除をしても広告できません。口コミサイトへの依頼投稿も同じ扱いです。
Q. 「専門医」は名乗れますか?
広告できるのは、厚生労働大臣に届け出た団体の認定する専門医など、認められた資格に限られます。自称の「専門」表記はできません。
Q. 違反すると課徴金がかかりますか?
医療広告に課徴金制度はありません。代わりに中止命令・是正命令が出され、従わなければ懲役・罰金の対象になります。虚偽広告は直罰もあります。
Q. 口コミサイトやポータルの表現も自院の責任ですか?
依頼・誘導して載せた効果の体験談は、広告主である自院の責任になります。第三者のサイトでも同じ扱いです。
Q. 割引やキャンペーンは全部ダメですか?
費用を過度に強調する広告や、緊急性で煽るキャンペーンは品位を損ねるとされます。標準的な費用の提示に徹するのが安全です。
Q. 看板や電車広告でも同じことが言えますか?
いいえ。看板や交通広告は限定解除ができないため、法令で認められた基本事項の範囲に収める必要があります。Webサイトより言える範囲が狭くなります。
📝まとめ:今日やる順番
自院サイトを”通せる状態”にする5ステップ
- 6パターン(絶対安全・No.1・体験談・写真・未承認・安さ強調)で自己診断する
- 禁止6類型に触れる表現(No.1・最高・最新・体験談)を削除する
- 自由診療は費用・リスク・副作用と問い合わせ先を明記し、限定解除の要件を満たす
- ビフォーアフター写真は詳細説明を併記。加工写真は使わない
- 未承認の薬・機器は4点を明記。書けないなら広告しない。迷う箇所は第三者の一次チェックへ
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